幸せのプラス、マイナスはゼロになる?
「人生、山あり谷あり」と言いますが、良いことの後には悪いことが、悪いことの後は良いことが起こるように感じることはありませんか?まるで、人生における幸福と不幸はバランスをとるように、プラスマイナスゼロになるようになっているかのようです。
幸せのプラス、マイナスはゼロへの考え方は様々
「幸せのプラス、マイナスはゼロになる」という考え方は、古くから様々な文化や思想に見られます。例えば、仏教では「諸行無常」という考え方があり、世の中のすべてのものは常に変化し、良いことも悪いことも永遠には続かないとされています。また、中国の陰陽思想では、陰と陽という相反する二つの要素が互いに作用し合い、バランスを保つことで世界が成り立っているとされています。
現代においても、多くの人がこの「プラスマイナスゼロ」の考え方に共感するのではないでしょうか。SNSなどを見ていると、華やかな成功の裏には、想像を絶する苦労や努力が隠されているというエピソードをよく目にします。また、一見順風満帆に見える人でも、人には言えない悩みや苦しみを抱えているということもあります。
なぜ幸せのプラス、マイナスはゼロと感じるのか?
では、なぜ私たちは「幸せのプラス、マイナスはゼロになる」と感じてしまうのでしょうか?
その理由の一つとして、人間の心理的なメカニズムが挙げられます。私たちは、良いことが続くと、それに慣れてしまい、幸せを感じにくくなってしまいます。これを「順応」といいます。また、過去の経験と比較して、現在の状況を判断する傾向があります。これを「対比効果」といいます。例えば、宝くじで100万円が当たったとしても、1億円当たった人と比べてしまうと、それほど幸せを感じられないかもしれません。
脳科学的な視点からも、この現象を説明することができます。快楽や幸福感を感じると、脳内ではドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。しかし、ドーパミンは、同じ刺激に対しては分泌量が減っていくという性質があります。そのため、最初は大きな喜びを感じていたことでも、次第に慣れてしまい、喜びを感じにくくなってしまうのです。
また、私たちは周りの人と自分を比較する傾向があります。他人と比べて、自分が劣っていると感じると、不幸を感じやすくなります。逆に、他人よりも優れていると感じると、幸せを感じやすくなります。
正しいのか誤っているのか
しかし、「幸せのプラス、マイナスはゼロ」は本当に正しいのでしょうか?
実際には、個人の感じ方や経験、価値観によって、幸せの感じ方は大きく異なります。同じ出来事を経験しても、ある人は大きな幸せを感じ、ある人はそれほど幸せを感じないということもあります。
例えば、昇進という出来事に対して、仕事にやりがいを感じている人は大きな幸せを感じるでしょう。しかし、仕事よりもプライベートを重視している人にとっては、それほど大きな幸せではないかもしれません。
また、過去の経験によっても、幸せの感じ方は変わります。辛い経験を乗り越えてきた人は、小さなことにも幸せを感じやすくなる傾向があります。
「幸せのプラス、マイナスはゼロ」という考え方は、必ずしも真実ではありません。しかし、この考え方を意識することで、私たちは日々の生活の中で、より多くの幸せを感じることができるようになります。
幸せの総量を増やすには
では、幸せの総量を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
まず、感謝の気持ちを育むことが大切です。当たり前のことに感謝し、小さな幸せに気づくことで、日々の生活の中で多くの喜びを見つけることができます。
また、目標を達成する喜びを味わうことも重要です。目標に向かって努力し、それを達成することで、大きな達成感と幸福感を得ることができます。
さらに、人との繋がりを大切にすることも、幸せを増やすために不可欠です。家族や友人、恋人など、大切な人たちと過ごす時間は、私たちに大きな喜びと安らぎを与えてくれます。
まとめ
「幸せのプラス、マイナスはゼロ」という考え方は、ある一面では真実かもしれません。しかし、私たちは、考え方や行動次第で、幸せの総量を増やすことができます。
幸せは、決してゼロサムゲームではありません。周りの人と比べるのではなく、自分自身の幸せを追求することで、より豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。
ゼロサムゲーム 経済用語(ゲーム理論)で、参加者の得点(利益)と失点(損失)の総和(サム)がゼロになるゲームや、その状況を指します。特徴は、あるプレーヤーの利益(プラス)が増えれば、その分だけ他のプレーヤーの損失(マイナス)が増え、合計するとゼロになります。