ニュースを見ないと幸せになれるってホント?
私たちは日々、テレビやスマートフォンを通じてニュースに触れています。しかし、「ニュースを見ないと幸せになれる」という考え方が最近注目を集めています。果たして本当にそうなのでしょうか?今回は、ニュースを見ないことで得られるメリットやデメリット、さらに適切なニュースとの付き合い方について、研究結果や専門家の意見を交えながら詳しく解説します。
ニュースを見ないことと幸福度の関係
ハーバード・ケネディスクールのアーサー・C・ブルックス氏によると、政治的なニュースを見聞きしすぎることは幸福度を損なう可能性があると指摘されています。政治的なニュースは、対立や争いを煽るような内容が多く、ネガティブな感情を引き起こしやすいためです。さらに、政治に関心が高い人ほど、現状に不満を抱きやすく、人生に満足していない傾向が見られるという研究結果も存在します。
また、2017年のオランダの研究では、政治的なニュース番組を1週間見るごとに幸福度が平均で6.1%低下するという結果が出ています。これは、ニュース番組でネガティブな話題が多いことが原因の一つと考えられています。暗いニュースばかり見ていると、気分が沈み、将来への不安や pessimism (ペシミズム:悲観主義) を抱きやすくなるのも当然と言えるでしょう。
ブルックス氏はさらに、特定の政治イデオロギーに傾倒しすぎると、視野が狭くなり、他の視点や情報を受け入れにくくなる可能性があるとも指摘しています。これは、ニュースを見過ぎることで偏った考え方にとらわれ、客観的な判断ができなくなるリスクを示唆しています。自分の信じたい情報だけを選択的に摂取する confirmation bias (コンファメーションバイアス:確証バイアス) に陥りやすくなることも、現代社会における大きな問題と言えるでしょう。
一方で、社会心理学者のジョナサン・ハイト氏は、ニュースを見ることは社会の一員としての責任を果たす上で重要であると述べています。社会問題や政治の動向を理解し、 informed citizen (インフォームド・シチズン:情報を得た市民) として社会に参加することは、民主主義社会において不可欠な要素であるという考え方です。
ニュースを見ない生活がもたらす意外なメリット
現代社会では、ネガティブなニュースが溢れています。事故、災害、犯罪、政治の混乱など、見るだけで気持ちが沈んでしまうような情報が多く報道されるため、知らず知らずのうちに心が疲弊してしまいます。ニュースを見ないことで、このようなネガティブな影響を受けにくくなります。
特に、ストレスが軽減されることは大きなメリットの一つです。ニュースの内容によっては、不安や恐怖を感じたり、怒りを覚えたりすることもあります。しかし、そうした情報を遮断することで、精神的な安定を保ちやすくなるのです。例えば、朝起きてすぐにスマートフォンでニュースをチェックするのではなく、散歩や読書をすることで、穏やかな気持ちで一日をスタートできます。心穏やかに過ごすことは、健康的な生活を送る上でも非常に重要です。
また、ニュースを見ないことでポジティブ思考が身につきやすくなるでしょう。ニュースはしばしばセンセーショナルな内容を強調しがちですが、それに振り回されることなく、自分自身の生活に目を向けることができるようになります。これにより、日常の小さな幸せを感じやすくなり、前向きな気持ちを保ちやすくなるのです。感謝の気持ちや mindfulness (マインドフルネス:今この瞬間に意識を集中すること) を育むことにも繋がるでしょう。
さらに、ニュースに割いていた時間を別の活動に充てることで、生活の充実度が増します。例えば、新しい趣味に挑戦したり、家族や友人との時間を大切にしたり、自己啓発に励んだりすることで、より充実した毎日を送ることができます。ニュースを見ないことで、情報の消費者としてではなく、自分の人生の主体として生きる感覚を取り戻すことができるのです。
ニュースを見ないと困ることはある?デメリットもチェック
一方で、ニュースを全く見ない生活にはデメリットもあります。まず、社会の動きを把握しづらくなる点が挙げられます。例えば、政治や経済の変化を知らないままでいると、仕事や投資などにおいて重要な判断を誤る可能性があります。特に、選挙や経済政策に関する情報を知らずにいると、社会の一員としての責任を果たすことが難しくなるかもしれません。
また、緊急時の情報を逃すリスクもあります。例えば、大きな地震や台風、感染症の流行など、生命に関わる情報は迅速にキャッチする必要があります。ニュースを完全に断ってしまうと、こうした重要な情報が得られず、安全対策が遅れる可能性があります。そのため、災害情報など、最低限必要な情報は入手できる手段を確保しておくことが重要です。
さらに、ニュースを見ないことで、周囲の人との会話についていけなくなることもあります。多くの人がニュースを話題にするため、その内容を知らないと、コミュニケーションの機会を逃してしまうことがあります。特にビジネスの場では、時事問題に関する知識が求められることも多いため、適度な情報収集は欠かせません。
まとめ|ニュースとの向き合い方を見直して、より幸せな生活を手に入れよう
ニュースを見ないことには、多くのメリットがあります。ストレスの軽減やポジティブ思考の促進、自由な時間の確保など、日常生活に良い影響をもたらします。一方で、社会の動きを把握しづらくなったり、緊急情報を逃したりするリスクもあるため、ニュースとの適切な付き合い方が重要です。
最も大切なのは、ニュースに振り回されるのではなく、自分自身の生活を主体的にコントロールすることです。必要な情報だけを選び、無駄なストレスを減らすことで、より充実した日々を送ることができるでしょう。ニュースとの距離感を見直し、幸せな生活を手に入れるための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。